電荷/でんか

【電荷】は電磁気力の元

電荷は原子内にもともとあり、よく知られる担体としては電子と陽子があります。また電荷は保存量で、孤立系内の電荷量は系内でどんな変化が起きても変化しません。孤立系内では電荷は物体から物体へ転送され、その転送は直接的な接触の場合もあるし、金属の導線などの伝導体を伝わって行われることもあります。静電気とは電荷が物体に存在する状態で、通常異なった素材をこすり合わせることで電荷が一方からもう一方に転送されて生じます。電荷が存在すると電磁気力が発生します。電荷が互いに力を及ぼしあう現象は古くから知られていましたが、その原理は古代には分かっていませんでした。8世紀後半のシャルル・ド・クーロンは、ガラス棒を布でこすって帯電させ、それを紐でつるした軽いボールに触れさせると、ボールが帯電する。同様のボールを同じようにガラス棒で帯電させると、2つのボールは互いに反発しあう。しかし一方をガラス棒で帯電させ、もう一方を琥珀棒で帯電させると、2つのボールは互いに引き付け合うというような現象を研究したました。彼は電荷には2種類の異なる形態があると結論付けました。この力は荷電粒子自身にも働くため、電荷は物体表面に互いに距離をとるように一様に分布する傾向がある。この電磁気力の強さはクーロンの法則で定式化されており、互いの電荷の積に比例し、距離の2乗に反比例します。電磁気力は強い相互作用に次いで強い力ですが、強い相互作用とは異なりあらゆる距離に働きます。

電子と陽子の電荷は極性が逆で、物体全体の電荷は正の場合と負の場合があります。一般に電子の電荷を負、陽子の電荷を正とします。電荷量は記号[Q]で表され、その単位はクーロン。電子はどれも同じ電荷量を持ち、その値は約 −1.6022×10−19クーロンです。陽子は同じ大きさの極性が逆の電荷量を持つので+1.6022×10−19クーロンとなります。電荷は物質だけでなく反物質にもあり、それぞれに対応する反粒子は大きさが等しく極性が逆の電荷量を持ちます。電荷量を測定する手段はいくつかあり、最近では電子式のエレクトロメータがよく使われています。


電流/でんりゅう

電荷を持った粒子の移動

電荷を持った粒子の移動によって、電流が発生し、その強さはアンペアを単位として計られます。どんな荷電粒子でも移動することで電流を形成できますが、電子が最も一般的です。電流の流れる向きは正の電荷の流れる向きとされていて、電源の正極から負極に流れるとされています。負の電荷を持つ電子は電荷担体としては最も一般的ですが、電気回路での電流の流れる向きと電子の移動する向きは反対です。ですが、状況によっては電流の向きと荷電粒子の移動する向きが一致する場合もありますし、荷電粒子が両方向に同時に移動することもあります。

物質を電流が流れる過程を電気伝導と呼び、その性質は流れる荷電粒子と物質の性質によって様々です。金属の場合は電子が流れ、電気分解においてはイオンが液体中を流れまうs。粒子自体の移動速度は極めて遅く、毎秒数ミリメートルですが、それによって形成される電場は光速に近い速度で伝播します。そのため、電気信号は導線上で極めて高速に伝送されます。電流はいくつかの目に見える現象を引き起こします。水に電流を流すと分解されるという現象[電気分解]はウィリアム・ニコルソンとアンソニー・カーライルよって1800年に発見されました。そこからさらに研究が進み、1833年にマイケル・ファラデーが電気分解の法則を解明しました。ジェームズ・プレスコット・ジュールは、電気抵抗のある物質を電流が流れるときの局所的な発熱を研究し、1840年に数学的に定式化したジュールの法則を導き出しました。電流に関する最も重要な発見をしたのはハンス・クリスティアン・エルステッドで、1820年に講義の準備をしているときに導線に電流を流したときに近くにあった方位磁針が振れることに気づきました。これが電気と磁気の基本的相互作用の発見で、そこから電磁気学が発展することになったのです。

工学や実用的観点では、電流を直流(DC) と交流(AC) に分類します。直流は電池などが発する電流で、常に一方向に流れる電流です。交流は電流の流れる向きが定期的に逆転する場合のこと。したがって、交流が流れる導体内では電荷が一方向に進むことはなく、短い距離を行ったり来たりすることになります。交流の電流の強さをある程度以上の時間で平均するとゼロになりますが、エネルギーはある方向に運搬され、次に反対方向に運搬されます。交流には定常的な直流では見られない特性があり、インダクタンスや静電容量に影響を受けます。


電場/でんば

電荷に力を及ぼす空間の性質の一つ

マイケル・ファラデーによって電場の概念は導入されました。電場は電荷によってその周囲の空間に形成され、その電場内に存在する他の電荷に力を及ぼします。2つの電荷の電場の振る舞いは、ちょうど2つの質量の重力場と似ていて、広がりは無限ですが互いに及ぼしあう力は距離の2乗に反比例します。ただし、電場と重力場には大きな違いが1つあり、重力は常に引き付け合う力ですが、電場は引き付け合う場合と反発しあう場合があります。惑星のような巨大な物体は全体としてほとんど電荷を帯びていないため、遠距離の電場は通常ゼロ。そのため宇宙規模の距離では本来弱いはずの重力が支配的になります。電場は空間の位置によって変化し、ある位置に正の単位電荷量を静止させて置いたとき、その電荷が受ける力の強さがその位置の電場と定義されます。この概念上の電荷を試験電荷と呼び、自身の電場が影響を及ぼさないようほとんどないくらいに小さく、しかも磁場を生じないために決して動かないものとします。電場は定義上から力であり、力はベクトル量です。つまり、電場自身もベクトル量であり、大きさと方向があります。

静止した電荷が形成する電場を研究する分野が静電気学です。電場は空間の各点における方向に沿って描いた想像上の曲線で視覚化できます。ファラデーがこの概念を導入し、これを「電気力線」と呼ます。正の点電荷をその電場内で動かそうとした場合、点電荷が通る経路は電気力線に沿ったものになります。ただしこれは物質的存在とは無関係の想像上の概念で、電気力線の間も含めて空間全体に電場は存在します。静止した電荷から発する電気力線にはいくつかの特性があります。第一に、電気力線は正の電荷を始点とし、負の電荷を終点とします。第二に、良導体がある場合は常に直角に入っていきます。第三に、電気力線同士が交差することはありません。中空の導体では電荷は常にその外側の表面に分布します。従って、その内部のどの位置でも電場はゼロとなります。これがファラデーケージの動作原理で、金属殻で囲まれた内部は外界の電場から隔離されます。静電気学の知識は高電圧装置の設計において重要で、電場を満たしている媒体には必ず耐えられる電場の強度の限界があります。電界強度がその限界を超えると絶縁破壊がおき、帯電した部分の間に電弧によるフラッシュオーバーが生じます。空気の場合、電極の間が狭いなら電界強度が30kV毎センチメートルを越えると電弧が生じます。電極間の距離が大きい場合は限界がさらに低くなり、1kV毎センチメートルでも電弧を生じることがあります。雷はこの現象が自然界で発生したもので、上昇気流によって地面と隔てられて電荷を蓄えた雲が電場を生じ、その強度が空気の限界を超えたときに発生します。電界強度は近くに導体があると大きく影響され、特に尖った導体の先端部分に電気力線が集中します。この原理を応用したのが避雷針で、その尖った先端が周辺で発生する雷を引き寄せるのです。